2000年
 
1997年、大理石彫刻作品「風の環・PAX2000」でヴェルシリア賞国際グランプリを受賞した武藤は、一つの夢を描く。それはキリスト教にとって記念すべき大聖年(ジュビレオ)を迎える2000年(新ミレニアム)に、平和の祈りを込めてバチカンに献納しようというものであったが、幸運にも彼の夢はかなえられた。

おそらくイタリア内外からかなりの申し出があったであろうなか、彼の作品は、ローマ郊外の避暑地である法王公邸(夏の離宮)に永久設置された。むろんこれまで日本人の作品が公邸に献納されたことは皆無であったし、公邸に抽象彫刻の献納が認められたのも初めてのことであった。

このできごとは、武藤順九の名を一躍高めることとなる。2002年には、パリの国連ユネスコ本部に絵画「光の誕生」(「記憶の壁」シリーズ)が永久設置され、翌2003年には、大理石の原産地であり、彫刻の町としても世界的に知られているピエトラサンタ市(イタリア)と、ヨーロッパの文化都市として名高いアントワープ市(ベルギー)にシリーズ「風の環・PAX2000」がそれぞれ設置された。

ローマ法王に謁見
 
ローマ法王に献納された彫刻
 
ピアッツァ・デラ・リベルタ(カステルガンドルフォ法王離宮前広場)
夏の離宮にある美しい庭園
離宮のヘリポート前に永久設置されています
 

献納式で彫刻に見入る左から濱尾文郎大司教、武藤、ヨゼフ・ピタウ大司教

バチカンのサン・ピエトロ広場でローマ教皇、ヨハネ・パウロ2世の謁見に招かれ祝福を受ける